2011年7月12日火曜日

ソイウイウモノニワタシハナリタイ

賢治の「雨ニモ負ケズ」が好きです。
あまりにも有名過ぎて
好きだというのが気恥ずかしい気もしますが
ここに込められている賢治の想いが
強く伝わってくるのです。

丈夫ナカラダヲモチ
欲ハナク決シテイカラズ
イツモシズカニワラッテイル

ここで賢治が描く人間像は
はじめは仏さんのような理想像だと思っていましたが、
実は、そういう完成された人間像ではなくて
逆に完成されていない悩み多き人間そのものの姿だ
と思うようになりました。

ヒデリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ

様々なことに心痛めるも
何の解決のすべもなく、ただおろおろするばかりの
無力で小さな人間。
そして、その自分の無力さを自覚している人。
心痛めて涙を流すくらいしか自分にはできないのだと
悲しみを心に抱えて生きてゆける人。

ホメラレモセズクニモサレヌ
ソウイウモノニワタシハナリタイ

人に認められることを期待しない強さと
人に迷惑にならない頭の良さ。
そういう人になりたいと書く賢治はすごいと思います。
そして、その優しさと強さに圧倒されます。

わたしは、自分が浮かれそうになった時
この詩を思い出します。

ほんとうの強さとはなにか
ほんとうの優しさとはなにか
忘れてはいけないものが
ここにはあるように思えるのです。




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